マッキー

マッキーというのはうちの向かいの家の娘。ちっちゃくてふわふわで、白目なんか青みがかかってて、目も大きくてとにかく可愛い盛りの4歳。で、学校から帰るとなぜかマッキーが彼女の家の前で突っ伏していた。土下座をさらに丸めたような感じで、ふるふると震えていて、一体どういう状況だ?!と混乱した。後ろから寄っていって、目を塞ぎ、
「だーれだ?」とやったら、なんと泣いてるじゃありませんか!
「ど、どうしたマッキー、なんで泣いてる?」
「淋しくて・・・(グス」
家の庭ではマッキーの親父さんがぼんやり宙を見ていました。
「あのー、マッキー泣いてますよ」
「ああ・・・そう・・・」
「・・・・・・うちに連れてって遊ばせてもいいですか?」
「ああ・・・いいよ・・・」
なんだあの父親!ピキピキしながらマッキーの手を引いて帰宅。
童話を読んであげたり、相撲をとったり、かくれんぼをしたりして一緒に遊ぶ。4歳児は元気だなあ。そして行動がカオスだ。追っかけるときゃっきゃっといって喜ぶ。そのうち、どんぐり拾いに行きたいと言ったので、晩御飯の食材を買いに行くついでに、近所の雑木林に寄った。冬はすぐ暗くなる。もう薄暗くなってるんだけど、マッキーは凄く熱心にどんぐりを探していて、私があげたジャム瓶いっぱいに詰め込んでいた。マッキー、カワユス。あーこんな妹欲しいなあ。
「おねーちゃんに半分あげる!」
とマッキーが言ったので、気持ちだけ有難くもらって、私はどんぐり一粒をわけてもらった。今日の記念品にしよう。
その後、マッキーがだいぶ眠そうになってきたので彼女の家まで送り届けた。


晩御飯を作りながら「聞いてよパパ!」と私は、マッキーの父親の態度があんまりではないかと話した。
父「あの家は、今親父さんが無職で経済的に苦しいらしい。子供のことまで手がまわらんのだろう」
私「でも、ひどいよ!家の前で突っ伏して泣いてんだよ!淋しいって!普通じゃないよね!」
父「気持ちはわかるけど、あまり他人の家に干渉してはいけないよ。その家なりの事情というものがあるからね」
私「そういう、大人の意見もわかるけどさー、4歳の子供だよ?一番親の愛情が必要なときじゃない?」
父「うーん・・・」
晩御飯は舌平目のムニエルとシーザサラダ、揚げだし豆腐、特製味噌汁を作った。久々に兄も降りてきて食べた。
兄はどうやら就職サイトで仕事を探しているらしい。ニート脱出なるか?


世界の誰もが幸福でありますように。誰もが幸福になれますように。子供が泣いたりしませんように。お願いですから弱い我々を試みにあわせないでください。