ジル・ドゥルーズ『差異について』/青土社

ドゥルーズベルクソン哲学の継承者でありその哲学をさらに推し進めた。ベルクソン哲学に顕著なのが事物の「質」への拘りだが、これは事物と事物の「差異」をも示していると捉えたのがドゥルーズの哲学である。「差異」こそドゥルーズ哲学の要である。この本はドゥルーズによるべルクソン哲学の捉えなおし―改めて近代におけるベルクソン哲学の射程の見直し―がテーマとなっている。短い論文である。が、正直いって苦労した。ベルクソンの文章は平易で用意周到、まるで傍らにいて歩調をそろえてくれているような優しさに満ちていたのに対し、ドゥルーズのそれはまるで稲妻のようだ。簡潔な最低限の言葉で紡がれる。彼の言葉を捉えたと思ったときには、もうずっと先まで進んでしまっているのだ。だから三度、四度の精読が必要だった。ドゥルーズベルクソンの系譜に連なる現代の哲学者である。これからしばらくはドゥルーズの著作を追ってみるつもり。