読んだ本

飯沢耕太郎『私写真論』/筑摩書房

スーザン・ソンタグをはじめとして所謂「写真論」的なテキストはいくつか読んできたが、これほど撮影者―被写体の関係に踏み込んだテキストは初めて。これは恐ろしく刺激的な本である。『私写真論』とは掲げられているが、実際には飯沢耕太郎による四人の写真…

養老孟司『臨床哲学』/哲学書房

ひさびさのハズレ本。時間を無駄にした怒りをどこにぶつけてくれようか。たいそうなタイトルがついているが内容は養老先生の日記帳レベルである。哲学とよべるレベルの話は出てこないし脳や医療についてもたいして踏み込まない。脳+医療+社会+哲学につい…

ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ『千のプラトー―資本主義と分裂症』/河出書房新社

ドゥルーズ追っかけの一環として読んで見た本。『アンチ・オイディプス』という本の続きらしいが、多分読んでなくてもあまり問題はない。カントの『純粋理性批判』なりベルクソンの『創造的進化論』なりといったいわゆる哲学論文を期待して読んではいけない…

ジル・ドゥルーズ『差異について』/青土社

ドゥルーズはベルクソン哲学の継承者でありその哲学をさらに推し進めた。ベルクソン哲学に顕著なのが事物の「質」への拘りだが、これは事物と事物の「差異」をも示していると捉えたのがドゥルーズの哲学である。「差異」こそドゥルーズ哲学の要である。この…

マルクス『資本論 第2巻』/岩波書店

いやー長かった。厚かった。ようやく読み終えました。2巻では主に資本の循環、つまり金→物資→生産→物資→金という流れについて細かく分析しています。意外だったのは、内容が現代の我々からするとひどくごく当たり前のことばかり書かれているということです。…

マルクス『資本論 第1巻』/岩波書店

いやーハンパない!ハンパないよマルクス、そして19世紀の労働者環境! 以前、マルクスの『賃金・価格および利潤』を読んだ感想を書きましたが、あれはいずれこの『資本論』を読むための準備でした。この『資本論』は全4巻からなりますが、とにかく厚い、そ…

シュヴェーグラー『西洋哲学史』/岩波書店

ソクラテスの少し前の哲学者からヘーゲルまでの西洋哲学史を解説した本です。ソクラテスやデカルト、ライプニッツ、ヒューム、カントなどのいわゆる大哲学者については相当のページ数がさかれていて、それぞれの時代の主要な思想・哲学の移り変わりなどが簡…

マルクス『賃金・価格および利潤』/岩波文庫

1ヶ月ほど父についてイタリアを旅してきました。当然学校にはお休みをもらっています。まあ日本の大学受ける気ないし、外国の様子を知ってくるのもいいかと思って。私は幼少のことシンガポールで育ちまして、そのころの友達がイタリアの寄宿学校に入っている…

ベルクソン『物質と記憶』/白水社

哲学書を読んで感動したのは初めての経験です。ベルクソンは難しい言葉を使わず、平易な言葉と我々の常識に沿ったかたちで理論を展開しているのだけれども、そこには世界観の転換や予期しなかった発見があって新鮮な驚きに満ち溢れていました。ベルクソンは…

ベルクソン『時間と自由』/岩波書店

カントの『純粋理性批判』を探していて見つけた本。ほかにベルクソン『物質と記憶』も見つけた。ベルクソンのほうがカントより読みやすいし、先にこっちを読んでみるかー、と読み始めた本。 要するに人間には自由があるのかないのか、ある時点でAとBという行…

ヘーゲル『精神現象学』/作品社

若きヘーゲルの暴走の書。難解だとは聞いていたのですが、ここまでとは。これまで読んできた哲学系の本とは根本的に何かが違っていて、これは一種の芸術書なのではないかと思いました。とにかくテンションが高い。そのテンションについていけない。内容うん…

カント『プロレゴーメナ 人倫の形而上学の基礎づけ』/中公クラシックス

カントというと『純粋理性批判』が有名ですが、これはまだ読んでないのです。『プロレゴーメナ』は『純粋理性批判』を出版後、いろいろと出てきた誤解や批判に対して書かれたもので、「いかにして形而上学は可能であるのか」がその主題となっています。とい…

プラトン『ソクラテスの弁明 ほか』/中公クラシックス

ひげもじゃの胸像で有名なソクラテス。ソクラテスといえばプラトン。プラトンの著作に出てくるソクラテスは、創作上の登場人物だけれども、その生涯については研究が進んでいて生まれた年から死にいたるまでが明らかになっている。ソクラテスといえば哲学史…

ベルクソン『創造的進化』/岩波書店

ライプニッツの本を読みながら、ちょくちょく読み込んでいた本。かなり古い文庫本であちこち擦り切れ、書き込みがいっぱいされている。400ページ級の厚めの本なのだが、なんというか、とてもさらりと読むことができた。文章が明晰でわかりやすく、丁寧に説明…

ライプニッツ『モナドロジー 形而上学叙説』/中公クラシックス

父が中央クラシックスの本をどっさりと買ったらしく図書室の中央に山積みに。本棚に同じ題名の本があるのに。何故だ?と聞いたら「解説つきの本を読みたかった」&「歳を取って眼が悪くなったので大きな活字で読みたかった」そうな。いきなり二十冊ぐらい購…

デカルト『方法論序説』/中公クラシックス

我が家には図書室みたいな部屋があって、主に父が集めた本が詰め込まれている。四方が本棚で囲まれていて窓が見えない。あと床にも本が積まれてて腰の高さくらいまである。小説とか雑誌もあるけど哲学書がほとんどで、父いわく若いころに死ぬほど悩んだこと…