マルクス『資本論 第1巻』/岩波書店

いやーハンパない!ハンパないよマルクス、そして19世紀の労働者環境!
以前、マルクスの『賃金・価格および利潤』を読んだ感想を書きましたが、あれはいずれこの『資本論』を読むための準備でした。この『資本論』は全4巻からなりますが、とにかく厚い、そして膨大な註釈。『純粋理性批判』も読むのに時間がかかりましたが、『資本論』はたぶんその倍以上かかるでしょう。春までには読み終えるつもりでいますが、どうなることやら・・・。で、とりあえず第1巻を読み終わりました。感想は冒頭の「ハンパない!」に集約されるのですが、そのハンパなさというのが経済学的論理の解説からくるのではなく、本書後半からひたすら延々と生々しく絶望的に描かれつづける19世紀労働者たちの環境に対するものであります。仮に19世紀にロンドンの石工の娘として生まれていたら、この年齢まで生きていられたかどうか疑わしい!そういうレベルです。とにかく貧乏です。不潔です。未来がないです。死にます。ばたばた死にます。おまけに税金も取られます。苦しいです。生きるのになんの希望も見出せません。そんな描写(というか記録)が約500ページにもわたって延々と続きます。私は非常に気分が悪くなりました。前半はまだ資本が形成される仕組みとか、そういうことの説明をしてるんですよ。でも残り半分がひたすらこれです。死にます。辛いです。第2巻はまだ開いていないんですが、こんな調子で続けられたら正直マジで心を病んでしまいそうです。でも前半は面白かったです。とくに資本という概念を特定の固定された商品とか金銭じゃなくて、変動しつづけるシステムとして解釈しているあたりはとても興味深いです。
気を強く持って第2巻にゴー!という感じです。