マルクス『資本論 第2巻』/岩波書店

いやー長かった。厚かった。ようやく読み終えました。2巻では主に資本の循環、つまり金→物資→生産→物資→金という流れについて細かく分析しています。意外だったのは、内容が現代の我々からするとひどくごく当たり前のことばかり書かれているということです。要するに多少なりとも経済学を学んだことのある人間からすると2巻は「今更何言ってんだ」みたいな、とても退屈な内容にうつるかもしれません。とはいえ・・・これはマルクスがこの資本論を著した時代について考えてみなければいけないのです。哲学史でいうとちょうど「哲学を科学しよう!」とまさに新時代の哲学を開始したカントのような存在だったのではないでしょうか。マルクスの前にはA・スミス、リカードといった経済学者がいましたが、いずれもマルクスからみるとなにかしらの誤解であったり誤謬をかかえた論でした。マルクスはし本論のなかで特にA・スミスを槍玉にあげています。ていうかDISっています。個人的な恨みがあるんじゃないかというレベルで激しく突っ込みをいれています。2巻の見所はマルクス以前の経済学者たちの論にたいする資本論の位置付けを行っているところですかねー。あんまり資本の循環理論については目新しいところはないです。マルクスがあんまりにもA・スミスをDISっているので、マルクスがそれ以降のケインズさんとかからどういう扱いを受けているのかにも興味が湧いてきました。
タラタラと3巻を読み始めています。

にゃーん

ヘキサーRFがだんだん手に、というか眼に馴染んできました。AF機能のない完全なMF機のカメラなんですが、最近MFでの撮影にはAFの時にはなかったアグレッシブさがあるような気がしています。猫みたいなすぐ逃げる被写体だとAFがあると便利、とは思いますが。




スーザン・ソンタグ『写真論』/晶文社

スーザン・ソンタグの語り口は饒舌で、知らぬ間に深みに連れ込まれてしまう。写真は世界の薄片で、どうしようもなく薄っぺらく壊れやすいものだけれども、この世のあらゆるものは写真に撮られることが可能で、それはつまり撮影者に安心をもたらす。写真は古いほど面白い。何故か。景色はすごいスピードで変化していく。毎日その微々たる変化を目視している我々はそれに気付かない。古びた写真として過去の記録が目の前に突きつけられるとき、世界の完全性は綻び、世界はつねに変化しつづけているということを嫌でも実感せざるを得ない。

マルクス『資本論 第1巻』/岩波書店

いやーハンパない!ハンパないよマルクス、そして19世紀の労働者環境!
以前、マルクスの『賃金・価格および利潤』を読んだ感想を書きましたが、あれはいずれこの『資本論』を読むための準備でした。この『資本論』は全4巻からなりますが、とにかく厚い、そして膨大な註釈。『純粋理性批判』も読むのに時間がかかりましたが、『資本論』はたぶんその倍以上かかるでしょう。春までには読み終えるつもりでいますが、どうなることやら・・・。で、とりあえず第1巻を読み終わりました。感想は冒頭の「ハンパない!」に集約されるのですが、そのハンパなさというのが経済学的論理の解説からくるのではなく、本書後半からひたすら延々と生々しく絶望的に描かれつづける19世紀労働者たちの環境に対するものであります。仮に19世紀にロンドンの石工の娘として生まれていたら、この年齢まで生きていられたかどうか疑わしい!そういうレベルです。とにかく貧乏です。不潔です。未来がないです。死にます。ばたばた死にます。おまけに税金も取られます。苦しいです。生きるのになんの希望も見出せません。そんな描写(というか記録)が約500ページにもわたって延々と続きます。私は非常に気分が悪くなりました。前半はまだ資本が形成される仕組みとか、そういうことの説明をしてるんですよ。でも残り半分がひたすらこれです。死にます。辛いです。第2巻はまだ開いていないんですが、こんな調子で続けられたら正直マジで心を病んでしまいそうです。でも前半は面白かったです。とくに資本という概念を特定の固定された商品とか金銭じゃなくて、変動しつづけるシステムとして解釈しているあたりはとても興味深いです。
気を強く持って第2巻にゴー!という感じです。

レンジファインダー機ってむずかしい〜

F80のAF機能や液晶画面を見ながらの操作に慣れた身にとっては、ヘキサーRFの操作のなにもかもが新鮮です。ピント合わせはMF方式でやるのですが、指でレンズを回して調整していく感覚とか、レンジファインダー機独特の「視界から特定の領域を切り出していく」感覚とか、同じカメラなのに一眼レフとレンジファインダーというだけで、こんなにもなにもかも違うのかと戸惑うばかりです。とくにピント合わせは「二重像合致式」という方式でやるのですが、これがなかなかの難物で、ちょっと複雑な被写体だとたちまち合焦しているのかしていないのか、よくわからなくなってしまいます。フハハハ、こやつめ、てこずらせおるわ・・・。最近はF80にはちょっとお留守番してもらって、ヘキサーRFを持ち歩く日々です。